華氏911

『Bowling for Columbine』に続き、米国内だけでなく世界で注目されたドキュメンタリー映画。監督(&出演)はもちろんマイケル・ムーア監督です。内容はブッシュ政権(というか、ブッシュ自身をか?)を徹底批判したもので、前作の『Bowling~』で取り上げられた「銃規制問題」同様、矛盾した法律や公共の場での高官のありえない言動、証拠に基づいた情報公開がメインです。
****物語ではないので、今回はあらすじを省略****
主演は現アメリカ大統領ジョージ・W・ブッシュ(笑)2000年の大統領選でゴア氏との接戦の上勝利し(不正疑惑はあったが)、2004年には二度目の当選を果たしました。去年、この映画が公開後全米1位になり、社会現象にまでなったにも関わらず再選するのだからある意味スゴイ人だ。
確かに、ドキュメンタリーとはいえ、ブッシュ批判の人間が作っているのだから、内容はかなり偏った一方的な情報が多いし、編集も主観的ではある。が、それでも、この映画を見て自分の意識や立場を考え直してみようかと思う人も多いと思うわけです。しかも、世界的にはアメリカの独断でイラク戦争を始めたことが相当非難されているというのに、去年の大統領選はあっけなくブッシュの勝利・・・むしろ、私はブッシュ政権どころかアメリカ全体に対して疑問を感じるなぁ。
タイトルの「911」は2001年9月11日アメリカ同時多発テロ事件からきている。メディアでは突然テロリストによって米国が攻撃を受けたように報道された。しかし、実際には事件前からウサマ(オサマ)・ビンラディンが航空機によるテロを計画していることをCIAが突き止めていながら、対策はおざなりにしていたらしい。打倒イラクは目標として挙げていたものの、アルカイダについては9.11以前は全くの無関心であったという(当初は911はイラク陰謀説が有力だったとか)。
と、いうのは実はブッシュ家とラーディン家にはビジネスの部分で長年の交流があったらしい。ブッシュが若いころ立ち上げたいくつかの会社に資金投資をしていたのがラーディン家の関係者であったり、父ブッシュがアドバイザーをしているカーライル・グループが資金運用をしているのがサウジの富豪であるラーディン一族であるとのこと。アメリカ政府では、ウサマ・ビンラーディンが9.11以前から国際指名手配されていながらも、彼は一族から離れた関係であると信じていた。だから、政府は9.11当時アメリカ国内にいたラーディン一族約50人を保護し、サウジに帰還させた。って、そりゃおかしいだろー。全米の空港で国内外の航空機が発着禁止になっている中、プライベートジェットを駆り出して犯罪者の一族を帰国させるって。身の危険が理由で国が保護するなら理由になるけど、帰国はまずいだろ?って普通はなると思うんだけど。
とはいうものの、FBIの発表では9.11の犯人の19人中15人がサウジアラビア人であるとされた後に6人は人違いであったという報道があったのにも関わらず、映画内では間違った情報がそのまま使われているあたり、ブッシュと密接な関係のあったサウジを批判したいだけなのかもと思ったりしましたが。
9.11までは50%を切っていたブッシュ大統領の支持率がアフガニスタン侵攻から90%にまで一気に上昇し、ブッシュ本人も「私は戦時大統領だ。父がそうだったようにね。」と発言するように戦争によって利益が得た人は少なくない。父ブッシュのカーライル・グループも、石油関連や防衛・航空宇宙関連の企業を中心に株式投資しているため、戦争によって莫大な儲けになる。アフガン侵攻後に強行したイラク戦争の目的も“結局見つからない”大量破壊兵器や核ミサイルではなく、一部の人々の『利益』のためだったのではないかとさえ思ってしまう。
もちろん、政府や大統領だけでなく国民の中にもやっぱオカシイやつがいる。イラクに派遣されている兵士の中には「人間を殺すときにノリがいいロックを聞いてるんだ。盛り上がるよ!」えーっと、、、バカですか?関係のない市民を殺害・拘束するのは日常茶飯事、拘束したイラク兵に恥辱を与えている映像や写真がネットで公開され問題にもなった。何のためにイラクにいるのか、何をすべきなのか、それが分かっていない兵士を何万も送り込まれたイラクの人々にとって、アメリカ軍が侵略者と映っても仕方ない。「自分の魂を削らないと人は殺せない」と語った兵士もいた。なぜそこまでして殺さなければならないんだろ?命令だからか?「テロには屈しない」と語るのはかまわんが、それで死ぬのは戦う目的を知らない兵士と侵略された国の兵士だ。
ん??いつの間にか映画の内容から離れてるなぁ(笑)まぁ、結論としてはムーア監督自身はブッシュ批判をしたいのは分かるんだけど、すべての問題は大統領だけではないと思うわけです。その大統領を支持するアメリカ国民、アメリカを支持する諸外国(日本を含む)の対応もすべて問題じゃなかろーかと。メディアに踊らされるアメリカ国民を非難した内容のGreenDay“American Idiot”の全米&全世界でのヒットは、皆が意識の一部では間違いに気付いているという事実の反映ではないかと思うんだよねぇ(、、、てか、GreenDayだから売れたのかもしれないけどw)。この映画を見て受け止めることは人によって違うとは思うけど、事実の一つとして見ると良くできたドキュメンタリーであると思います。